随分前に青山のギャラリーで個展をしたとき、得意な薔薇と同じくらい
人気があったのが天使シリーズ。

マグカップの後ろにはイニシャル入り。

来場者の方に、

「天使たちの奏でる音楽が聞こえてくるようですね。」

「どうしても、購入したい。」

「なんだか、とっても癒されます。」

「命が宿っているようですね。」

「持っているだけで、幸せになりそうですね。」

などなど、嬉しいお言葉をたくさん頂きました。

その中で印象に強く残っているのが、初老のマダムです。

マダムは、この天使シリーズの前で、涙を流されて
３０歳の若さで亡くなった娘さんを思い出したと仰いました。

娘さんは、妊娠されていた時に病気が発見され、出産と同時に亡くなったそうです。

いま、お孫さんはそのマダムがお育てになっているとのこと。

「今は孫育てに精一杯だけど、いつかこのシリーズを自分で制作したい。先生、待っていていただけますか？」

と、マダムは仰いました。

「では、その時がきたら、お教えしましょう。いつまでも待っていますね。」

と、わたくしはお約束しました。

個展をしたときから数えても、まだまだお孫さんにはマダムが必要な年齢。

きっと、お孫さんの手が離れるのは、もっと先の事でしょう。

わたくしは、描き続けます。

マダムとのお約束が、忙しくても上絵付けをやめずに続けている理由のひとつです。

熊本地震にショックを受けましたが、だからこそ　また、このシリーズを描こうかと思い始めています。

沢山の天使をもっといきいきと。

天使たちが、すこしでも「ほっこり」笑顔をもたらせてくれるなら。

どうも、写真を撮るのが下手で、実際の質感や世界観が写真では出ていません。
写真が趣味の友人に撮ってもらえばよかったと、いまさら後悔。






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